ノンテクニカルスキルについて②(CRM・MCC・TEM)




今回はノンテクニカルスキルについて、続きです!

ここらへんのノンテクニカルスキルの話って、軽視されがちなんですけどかなり重要です。

これからエアラインパイロットになるなら、絶対に避けては通れない道なので、復習しましょう。

前回はこちら→
ノンテクニカルスキルについて①(ヒューマンファクタ・m-Shellモデル)

ってことで、

  • パイロットに必要な能力の1つにskillsがあって、それを分解するとテクニカルスキルとノンテクニカルスキルに分類できる
  • ノンテクニカルスキルも、現代のパイロットには必要な能力
  • 人間ってどんな時ミスするのよ?ってことを考えたのがヒューマンファクタやm-Shellモデル

ここらへんをおさらいして、次に行きましょう。

今日はCRMとMCCとTEMについて!これ、かなり重要です。

CRMってなに?

CRM(Crew Resource Management)、「安全で効率的な運航を達成するために、すべての利用可能な人的リソース(運航乗務員、客室乗務員、運行管理者、整備士、航空交通管制官など)、ハードウェア、及び情報を効果的に活用すること。」

…ちょっとわかりにくいですね。笑

つまり、『人的リソース、ハードウェア(オートパイロットとかね)、情報を、使いましょう。』

ただそれだけです。笑

ここでポイントは、人的リソースの中にパイロットだけではなく、CAや管制官なども入ってることですね。

使えるものは使おうと。

「そんなん当たり前やん!」となったあなたは正解です。

まあでも、このCRMも「Cockpit Resource Management」として最初は言われてたんですよ。

つまり、「パイロットの能力を最大限に引き出そう」→「いや、パイロットだけでなく運航に関わる全員の力を借りよう」って流れが変わったんですね。

流れとしては

  1. 偉そうなキャプテンが多く、立場上別の人が注意できなかった→事故多発(テネリフェとか聞いたことあります?)
  2. キャプテンが偉いのではなく、パイロット全員でチームとして考えましょう
  3. パイロットだけでなく、運航に関わる全員をチームとして考えましょう

という感じです。前回の記事で「偉そうにしている機長は現代ではタブー」って言ったのは、こういう背景からですね。

昔、CRMの考え方が日本に入ってきた時、グレートキャプテン()が「つまり俺(CAP)がお前(FO)に命令(Management)するんだろ?」って言って、盛大に顰蹙を買ったっていう伝説がありますが、定かではありません。(それってOrderであって、Managementじゃねえだろ笑)

CRM skills

『CrewのResourceを最大限に活用するのはわかりました。。。じゃあ、どうやって?』って疑問が出てくると思います。

JAXA先生が「どうやったらCRMを発揮できるのか」について、まとめてくれました。(CRM Skillsといいます。)

5つ。

  1. コミュニケーション
  2. 意思決定
  3. 状況認識マネジメント
  4. ワークロードマネジメント
  5. チーム形成・維持

とりあえず、ここテストに出るぞ!覚えておこう笑

私も現在勉強中ですが、エアラインパイロットになるって実は、フライトスキル自体は求められる能力のごく一部(重要だけどね)で、『しっかりコミュニケーションできる?マネジメントできてる?』って方もしっかり見られてます。

こればかりは一朝一夕では身につかないので、意識的に伸ばさないといけないですよね。

雑談ですが、『コミュ障じゃないし、コミュニケーションぐらいできるよ』と思ったあなた。

「コミュニケーションをすること」と、「効果的なコミュニケーションをすること」はだいぶ違うことをそのうち学ぶと思います。。。笑

MCCって?

Multi-crew Co-operationのことです。残念ながらAIM-Jには記載がありません。笑

CRMと同じような概念ですね。

2人のパイロットの間で、PICが主導の元、共通認識をもって協力しないさいよってことです。

ちなみにCRMとMCCが、同じような意味で同じ文脈で使われることもあります。

CRMとMCCの違いを説明してください!!って言われたら。。。困っちゃいますね。笑(わかるかたいらっしゃったら、コメント欄からお願いします。)

これ、一人で操縦する飛行機に乗ってるとピンとこないんですけどね。CRMでも言いましたけど、誤解のないコミュニケーションって訓練しないと伸びないんだな。

最初から上手い人もいますけどね。

TEMって?

Threat and Error Managementのことです。

『TEMとは、Threat Management, Error Management、そして UAS Managementを行うことである』ってAIM-Jには書いてありますが、なんのことを言っているのかさっぱりわからないので説明します。笑

Threatとは

乗員の関与しないところで発生する、安全マージンを低下させる可能性を含むもの。

つまり、どうしようもないんだけど放っておくと危なくなる可能性(Error)があるよねってものです。

例えば・・・複雑なマニュアル、管制官や整備士・CAのミス、空港の混雑、気象状態、タイムプレッシャー等

これに対処することをThreat Managementと言います。

具体的には『あ〜ここミスりやすいですよね〜』とか『ここってこの認識であってるよね?』って、事前にハマりやすいところをリストアップしていきます。これがブリーフィングです。

Errorとは

安全マージンを低下させる、乗員自身意図から外れる行動・もしくは行動をしないこと。

つまり上のThreatを放置しておくことによりハマってしまって、意図しないことをしたり、もしくはしなくてはいけないことをしないままにしてしまうことですね。

『あ!こんなつもりじゃないのに!』がポイントです。

この前にThreatの時点で認識しておけば防げたのになあ。って思いますが、まあ認識できないからErrorに至るわけですね。

ここですかさず、『自分の意図した状態から外れている!』って認識できれば、すぐに対処できますよね?

逆に1人では気づけないことも、2人なら『なんでこうなってるんですか?』ってきけますよね?

これがError Managementです。

UASとは

安全マージンが低下した航空機の状態

上のErrorでパイロットが望まない行動をとった結果、実際に飛行機が望まない挙動をしますよね?(違う高度に上昇してしまう、降りなくてはいけないのに水平飛行したままなど)

これがUAS(Undesired Aircraft State)です。

ここまでいってしまったらしょうがない、粛々と対処するだけです。

対処が遅れたり、適切でないとインシデントやアクシデントへとつながります。

改めてTEMとは

インシデントやアクシデントを起こさないためにも、その前のUASを無くさないといけない。

そのためには芽が小さいうち(ThreatやErrorの間)に取り除いていこうよって話ですね。

これ日常生活にも使えて、我々が意図しない間に使ってます。

例えば『忘れ物をするとまずい』→『前日から準備しよう』『持ち物チェックリストを作って、それに従おう』などですね。

あと『遅刻したくない』→『事前に電車の時刻を調べておこう』『時間に余裕を持って、何かあっても対処できるようにしよう』なども、ある意味TEMをやってるわけですね。

コミュニケーションスキルって大事だよね

別にパイロットだけではないですが、コミュニケーションスキルって大事なんです。

昔は『キャプテンが絶対』って価値観がありましたが、今ではそんな人も少なくなりつつあります(と言ってもまだ実際にはいるのが現状です。)

キャプテンも人ですから、ミスをします。

そんな時に止められるか否かで、今後のパイロット人生が大きく変わってしまいます。死亡事故は絶対に防がなくてはいけません。

やはり『言いやすい空気を作れる』キャプテンに、ゆくゆくはならないといけないなと思う次第です。

ではまた。




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