みんなが言ってる緊急事態宣言ってなによ?(緊急通信・遭難通信・SAR)




さて、前の関連記事はこちら→『ANAの緊急降下?について

記事の中で『緊急事態を宣言した』みたいなこと言ってますよね?

あとニュースでも『緊急事態を宣言した飛行機が・・・』みたいなことをよく言われます。

『んじゃ、緊急事態宣言ってなんなのよ?』ってのを、マスコミが具体的に調べてるとは(個人的には)思ってないので、解説します。笑

AIM-Jを持っている人は第7章の話です。復習がてらどうぞ。

SAR(Search And Rescue)体制について

まずパイロットが『あ、これまずいな』ってなった時や、地上の人(管制官や会社の人)が『あれ?この飛行機おかしくない?まずくない?』ってなった時に、その対象の飛行機を探し出して助けよう!って体制をSAR体制と言います。

この時の登場人物は

・パイロット
・国土交通省航空局(と共に管制官)
・海上保安庁
・防衛省(つまり自衛隊)
・消防庁

まずこの登場人物を覚えてね。

RCCが取りまとめ役

で、この登場人物を取りまとめる人がいないといけない。つまり

・情報の統合と整理
・各機関への指示、調整

を行うリーダーが必要です。それがRCC(Rescue Coordination Center)

ちなみにどこにある?ってよく言われます。

東京の羽田空港内にありますので覚えといてね。笑

緊急状態の段階

ってことで、パイロットや地上の人が『まずい』って思ったらSARが始まるわけですが、全部の疑わしい案件を一気に、しかも全力で調べてたら大変です。

ので、緊急状態にも段階を作り、それにあったSARがされます。(医療現場のトリアージみたいなもの?かな)

↑表にまとめると、こういうことなんだけど、あまりにわかりにくいので解説します。笑

まず前提情報として、飛行機は現在位置を通報しながら飛行します。

また、飛行前にフライトプラン(飛行計画)を報じてから飛ばなくてはいけません。これらを総合して飛行機の現在位置を割り出します。

不確実の段階

『あれ?なんかおかしいな?』って地上から思われたら不確実の段階。

・位置通報または運航状態の通報が、予定時刻から30min過ぎてもない場合
・航空機がその予定時刻から30min(ジェット機にあっては15min)過ぎても目的地に到着しない場合。

つまり、飛ぶ時はチェックポイントで『どこどこの上に何ft、何分に通過したよ!』っていうのを通報しながら飛んでいるのですが(旅客機は勝手に機械がやってくれてる)、それを30min以上怠ったり、目的地に事前に言う事無く30min以上音沙汰がないと『不確実の段階』となって捜索が開始されます笑

ちゃんと位置通報はしましょう。

で、この時何が地上の人たちから行われるかと言うと

・第一段通信捜索を行う
・RCCに通報する
・可能ならば当該航空機の使用者に通報する

よく「じゃあ第一段通信捜索って何?」って口述でよく聞かれるのですが

計器飛行方式→予定経路上における同機と交信しうる管制機関の有する施設を利用して行う捜索
有視界飛行方式→その予定経路上における飛行場について行う捜索

わかりませんね。笑(計器飛行方式と有視界飛行方式についてわからない人は、ググるか僕のyoutubeみてね)

つまり、IFRでは管制官(東京コントロールとか、121.5とか)で『JA〜, This is Tokyo Control, If you hear me, contact Tokyo ACC 〜』って呼び出しされます。

VFRでは着陸しうる飛行場に電話で聞くんですね。(この飛行機、不確実の段階なんだけどそちらの飛行場行ってませんか?)

その間にRCCがアップを始めます。

警戒の段階

・第一段通信捜索で当該航空機の情報が明らかでない場合
・第一段通信捜索を開始してから30minを経っても当該航空機の情報が明らかでない場合
・航空機が着陸許可を受けた後、予定時刻から5min以内に着陸せず当該航空機と連絡が取れなかった場合
・航空機の航行性能が悪化したが不時着の恐れがあるほどでない旨の連絡があった場合。

つまり、上で書いた第一段通信捜索(〜さんいますか〜?)で見つからなかったり、時間がたち過ぎてたり、着陸許可(Clear to land)もらったのに勝手に自由に飛行をして5min以上経ったり、パイロットによる(航空機の航行性能が悪化したが不時着の恐れがあるほどでない旨の連絡があった)緊急通信を行った場合警戒の段階にステップアップ。

都市伝説的な話ですが、空港周辺(Remote)で他の飛行機がいないからって、楽しく遊覧飛行を5min以上余計にしたせいで、SARが発動した例もあるらしいです。笑

さて、ここでのポイントは緊急通信がいきなり警戒の段階に入ると言うことですね。

緊急通信(Panpan)

パイロット側から通報するのはこの緊急通信と、後で出る遭難通信です。

緊急通信は『飛行機の状態はまあちょっとやばいかな〜、けどいきなり墜落するレベルではないんだけどね…まあ頑張っておろすね。』って状態になると通報します。

正確には『航空機の航行性能が悪化したが、不時着の恐れがあるほどでない旨の連絡があった場合。』

通報要領はAIMに載っていますが『Panpan, Panpan, Panpan, tokyo control, JA〜, 不具合内容、これからの意図、現在位置や高度、あとはその他の情報(Souls on board=搭乗者数や飛行可能時間など)』

じゃあ具体的にどんな状態なのよ?って話ですが

・エンジン1個止まったとき(もう1個で飛べるやん)
・複数系統あるシステムが、1系統残して全部アウトになった場合(その残り1系統が壊れたら大変だ)
・複数系統壊れたけど、まあ普通通りに飛べるかなって時(前回の全日空機みたいにね)

などですかね。

日本だと緊急通信も遭難通信も管制的な優先を受けられますが、海外だと緊急通信だけだと優先を受けられない場合もあるみたい。

ちなみに僕も、前に1回緊急通信は行ったことあります笑→飛行機が壊れた!さあ、どうする?

拡大通信捜索

さて、この『警戒の段階』に入っちゃうと行われる対処

・拡大通信捜索を行う
・捜索救難に必要とみられる情報や資料をRCCに通報する
・可能ならば当該航空機の使用者に通報する

一番重要なのは『拡大通信捜索』ってところですね。

『当該航空機の到達可能範囲にある関係機関による捜索』とありますが、これだとわかりにくい。笑

つまり、RCCがそのまずい状態になった飛行機のフライトプランや、集めた情報から現在あり得る位置を割り出して、自衛隊とか海上保安庁とか消防庁とかに連絡をします。

『もしかしたら行方不明な飛行機がそこら辺飛んでるかもしれない。なんか情報ない?あと準備しといてね』

上でパイロットから緊急通報(Panpan)を受けた場合は、位置はわかっているので、関係各所に通報するだけですかね(なんかこういう飛行機あるから。レスキューと消防車とか用意しておいてね)

遭難の段階

ここまで来ちゃうともう大変。遭難したものとしてみられてます。

・拡大通信捜索で当該航空機の情報が明らかでない場合
・拡大通信捜索開始後1h経っても当該航空機の情報が明らかでない場合
・当該航空機の搭載燃料が枯渇したか、または安全に到着するには不十分な場合
・当該航空機の航行性能が不時着の恐れがあるほど悪化したことを示す情報を受けた場合
・当該航空機が不時着をしようとしているか、またはすでに不時着を行なった情報を受けたか、もしくはそのことが確実である場合

下から二番目の『航行性能が不時着の〜』は、遭難通信の話をしています。

遭難通信

上で言った緊急通信のさらに酷いバージョン。

『あ〜このままだと遭難・墜落する可能性あるな〜まずいな〜助けてほしいな〜』って時に、パイロットが宣言する通信です。

いわゆる『Mayday』ってやつですね。

「Mayday, mayday, mayday, tokyo control, JA〜, 不具合内容、これからの意図、現在位置や高度、あとはその他の情報(Souls on board=搭乗者数や飛行可能時間など)」

が通信要領です。

やること→捜索

ここまでくると、もう『墜落したもの』として各関係機関が本格的な捜索を始めます。

RCCが音頭をとって、各関係機関に指示と情報の収集、あとは外国籍の飛行機だとその国の大使館に通報をしたりします。

遭難通信をパイロットから受け取った場合は、位置情報だけは掴んでいるので、優先権与えたり、地上の施設(消防車とか救急車とか)整えたりしますね。いつ連絡が途絶えても捜索ができるように、関係機関にヘリ飛ばしてもらったりします。

まとめ

さて、つらつら書きましたけど、わかりにくいですよね?

僕も書いてて混乱しますもの。

まとめると

遭難の場合

不確実→第一段通信捜索→警戒→拡大通信捜索→遭難

パイロットから緊急通信を受けた場合

警戒からスタート→無事着陸or、遭難へグレードアップ

パイロットから遭難通信を受けた場合

遭難からスタート→無事着陸or警戒へグレードダウン(緊急通信への変更)

 

とまあ、こういった流れを掴んだ上で、細かいところを覚えてほしいなと。

ちなみに遭難通信→緊急通信ってダウングレードすることあるのって話ですけど、例えばEngine Fireの時とか、消火活動中(まだ火が燃えてる)の場合、いつ落ちてもおかしくないので遭難通信、火が消えたらもう片方のエンジンで飛べるので緊急通信かなと。(僕が思うだけなので、パイロットの数だけ正解があると思います。)

まあ、パイロットとして重要なのは

位置通報をしっかりしないとどんなことが起こるのか

緊急通信・遭難通信

あたりが重要ですかね。

ちなみに「Mayday Fuel」や「Medical Emergency」はどうなんですか?って話ですが、それを話し始めるとまたこの倍の量書かなければいけないのでまた今度。笑

疲れました。ではまた。笑




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です